progit2-ja icon indicating copy to clipboard operation
progit2-ja copied to clipboard

現行訳指摘: 07-git-tools_stashing-cleaning

Open matsuand opened this issue 4 years ago • 0 comments

指摘箇所1 (全般)

  • stash という語(サブコマンド名は除く)に対して「(作業内容を)隠す」と訳されていますが、非常に違和感があります。他所(他文書)でもこの訳が定着しているのでしょうか(他所は全く承知していません)。
  • 結論から先に申しますと stash という原語をそのまま表記する訳し方でよいと感じています。他のサブコマンドに対する訳し方との整合性考慮が必要かもしれませんが。
  • 原義は「隠す」ですが、ネガティブなイメージがあり好ましい訳語ではない印象です。
  • まずオンライン英英辞書(Cambridge Dictionary)では、意味として to store or hide something とあります。隠す意味もあり保存の意味もあります。stash用のスタックが用いられるようであり、まさにpush、popにより一時的に保存退避し元に戻すものです。git statusには stach した内容が見えなくなるため、これに対してはまさに「隠れた」「隠された」という表現がぴったりと感じますが、全体を通じて「作業を隠した」と表現するよりも、「作業を一時退避した」という方が適切に感じます。
  • stash を「隠す」と訳したとして、その逆の操作は「書き戻す」と訳されています。隠すと書き戻すは、内容が分かれば理解はできることですが、本来は反対語として成り立つ動詞ではありません。さらに場合によっては「適用する」と訳す例もあり、これも反対語ではありません。
  • 不適切に思う1つとして stash という単語と「隠す」という日本語の紐付けが、どうやらないことです。「隠す(stash する)」と、説明的に括弧書きをつけて、英日両表現の紐付けが必要と感じます。どこか別の箇所では表現されているでしょうか?
  • もう1つ不適切と思う点は、節タイトル上も「隠す」と訳すことによって、目次に stash という語が上がらないということです。stash というのがあるらしいぞ、と聞き及んだユーザーが日本語訳文書を見ても、stash がどこに説明されているのか、まず分からないということです。
  • 考慮すべき訳方法として、stash は動詞としても名詞としても用いられている点です。現行訳は、それとなくそこを訳し分けていて、動詞の場合は「隠す」、名詞の場合は「変更」「変更内容」「隠した変更」「隠された変更」としています。
  • もう1つ考慮する点として、stash の説明についてくるスタック(stack)の存在です。"スタッシュ"と"スタック"、注意を欠いた読者は理解出来なかったり、意味を取り違えたりしそうです。(スタッシュや stash と訳した場合)

提案

  • 動詞としては stash する、でよいと感じます。「stash する(一時退避する)」と括弧書きを加えてもよいと思います。
  • 動詞の反対語は、原語では apply や reapply が用いられていますが、「元に戻す」でよいと思います。
  • 名詞としては「変更作業」を用い、必要に応じて「stash した変更作業」「stash されている変更」など説明を加えたらよいと思います。

指摘箇所2

原文 Often, when you’ve been working on part of your project, things are in a messy state and you want to switch branches for a bit to work on something else.

現行訳 何らかのプロジェクトの一員として作業している場合にありがちなのですが、ある作業が中途半端な状態になっているときに、ブランチを切り替えてちょっとだけ別の作業をしたくなることがあります。

指摘

  • 「プロジェクトの一員」誤訳と解釈します。partが表わすのは人ではなく作業。
  • 「ある作業が中途半端な状態に」"ある作業が中途半端" ではなく、"全部がごちゃごちゃに"が正しい解釈と思います(ある作業と1つに絞ることがおかしく、またmessyを中途半端と訳すこともしっくりこない)。
  • 「ちょっとだけ別の作業」細かく感じるところとして、"作業をちょっとだけしたい" のように作業先に力点があるわけではなく、"ちょっとだけ切り替えたい" という切り替え作業に力点があると解釈します。

試訳 プロジェクト内の作業を進めているときに、状況が複雑になってきて、ちょっとだけブランチを切り替えて別の作業をしたくなるときがあります。

指摘箇所3

原文 In this case, two stashes were done previously, so you have access to three different stashed works. 現行訳 この例では、以前にも二回ほど作業を隠していたようです。そこで、三種類の異なる作業にアクセスできるようになっています。

指摘

  • 「三種類の」不適切な訳と解釈します。変更作業が3つあるわけですが、種類としては変更作業が1種類です。種類=タイプが3つあるという訳はどうにも解せません。
  • 「アクセスできる」"できる"という能力を述べているのではなく"アクセスしている"という状態を表わすものと解釈します。

試訳 この例においては、すでに 2 つの作業が保存されていました。 したがって保存した変更が 3 つ示されています。

matsuand avatar Oct 12 '20 03:10 matsuand